「永遠と絆のRPG」――テイルズ オブ エターニア
テイルズシリーズ5周年となる2000年、初代PlayStation向けに発売されたシリーズ第3作。
前回の『テイルズ オブ ファンタジア』、その前の『テイルズ オブ デスティニー』に続いて、今回は『テイルズ オブ エターニア』の思い出を振り返ってみたい。
今振り返っても、5周年作品という節目にふさわしく、かなり気合を入れて作られた作品だったと思う。
今作でも健在のアニメーションOP
テイルズシリーズといえば、やはり外せないのがアニメーションによるオープニング。
『エターニア』でももちろん健在で、GARNET CROWの「flying」に乗せて、リッドたちの冒険を予感させるアニメーションが流れる。
『デスティニー』『ファンタジア』と続けてプレイしてきた自分にとって、この頃にはすっかり「テイルズといえばアニメOP」という印象が定着していた。
ゲームを起動すると、まず主題歌とともにアニメーションが流れる。
まるでこれから一本のアニメが始まるような感覚で、これも当時の自分にとってテイルズシリーズならではの大きな魅力のひとつだった。
今回のオープニングで特に印象的なのが、その始まり方。
まず雨の降る焼け落ちた村の景色が、無音のまま十数秒にわたって映し出される。
そこに佇むのは、幼少期の主人公リッド。
目を伏せていたリッドがゆっくりと目を開き、悲しげな表情で天を仰ぐ。
そこから「flying」のイントロが始まる。
「flying」といえば爽やかで疾走感のある曲という印象が強いが、イントロはどこか物悲しさを感じさせる曲調になっている。
雨、焼け落ちた村、幼いリッドの表情。
そこに静かに重なってくる「flying」のイントロが、なんともよくマッチしている。
そして曲がサビに向かって盛り上がっていくにつれて、映像も大きく変化していく。
爽やかで美しい世界の景色が広がり、仲間たちの姿が描かれ、さらに激しい戦闘シーンへ。
冒頭の静かで物悲しい雰囲気から一転して、これから始まる壮大な冒険を感じさせる映像になっていく。
毎度感じることだが、わずか2分ほどのオープニングの中に、作品の持つダークな一面、美しい世界、キャラクターたちの魅力、そして激しい戦いまで、よくこれだけ詰め込めるものだと感心する。
ゲーム本編をプレイする前に「これからどんな物語が始まるんだろう」とワクワクさせてくれる。
やはりテイルズシリーズにとって、アニメーションOPは作品の一部なのだと思う。
PlayStation後期だからこその豪華さ
まず印象に残っているのが、グラフィックの進化。
『デスティニー』やPS版『ファンタジア』からさらにドット絵が高精細になり、キャラクターの頭身も上がって、よりリアル寄りの表現になった。
特に背景の作り込みはすさまじく、街や自然、ダンジョンなど、テイルズらしいファンタジー世界の美しい景観がドット絵で見事に表現されている。
今見ると、当時とはまた違った意味で「ドット絵っていいな」と感じられる作品でもある。
戦闘システムも大きく進化した。
前作までの戦闘では、魔術が発動すると戦闘が一時停止し、派手なエフェクトが終わってから再び動き出すという流れだった。
しかし『エターニア』では、魔術が発動しても戦闘は止まらない。
敵味方が入り乱れて戦っている最中に、そのまま魔術が飛び交う。
今では当たり前のように感じるが、当時はこの変化によって戦闘のリアルタイム感が一気に増したように感じた。
よりスピーディーに、よりアクションゲームらしく。
現在まで続くテイルズシリーズの戦闘システムへ、大きく近づいた作品だったのではないかと思う。
PlayStation後期のタイトルということもあって、ハードの性能をかなり使い切って作られた印象がある。
そして、そのボリュームを象徴するかのようにディスクは3枚組。
ゲームを進めて「DISC 2に入れ替えてください」と表示される、あの時代ならではの感覚も今となっては懐かしい。
2つの世界を巡るボーイミーツガール
今回の舞台となるのは、「インフェリア」と「セレスティア」という2つの世界からなるエターニア。
空を隔てて存在し、互いの世界を見上げることができる「対面世界」という設定だ。
インフェリアで暮らす主人公リッドと幼なじみのファラ。
そんな2人の前に、ある日セレスティアから少女メルディが落ちてくる。
やがて2つの世界が衝突する災厄「グランドフォール」が迫っていることを知り、それを食い止めるための旅が始まる。
異世界からやってきた少女との出会いから世界を救う冒険へ――。
ある意味では、テイルズらしい王道のボーイミーツガールである。
ただ、エターニアで面白いのは、メルディが「異世界から来た」という設定を単なる舞台装置で終わらせていないところだ。
言葉すら通じないところから始まる交流
セレスティアからやってきたメルディは、リッドたちとは話す言葉そのものが違う。
そのため、出会った当初はまともに意思疎通することすらできない。
そこで登場するのが、リッドとファラのもう1人の幼なじみである学者のキール。
彼の協力によって、少しずつメルディとの意思疎通が可能になっていく。
そして個人的に『エターニア』で特に印象に残っているのが、このキールとメルディの関係だった。
理屈っぽく、どこか素直になれないキール。
明るく天真爛漫なメルディ。
種族も性格も育った環境も、話す言葉さえ違う2人だが、旅を続ける中で少しずつ互いを理解していく。
最初は文字通り「言葉が通じない」関係だった2人が、やがて言葉や世界の違いを越えて、かけがえのない存在になっていく。
エターニアが描いた「絆」というテーマを、最も分かりやすく象徴していた2人だったように思う。
やる気のなかったリッドが成長していく物語
主人公のリッドも印象深い。
物語冒頭のリッドは、世界を救う使命に燃えるような熱血主人公ではない。
どちらかといえば面倒事には関わりたくないタイプで、どこかやる気のない、ふわっとした人物として描かれていた。
しかし、ファラやキール、メルディたちと旅を続け、さまざまな人々や出来事と向き合うことで少しずつ変わっていく。
最初から立派な英雄だったわけではない。
ごく普通の青年が過酷な冒険へ巻き込まれ、仲間との出会いや交流を通じて精神的に成長していく。
そう考えると、『エターニア』はかなり王道のジュブナイルでもある。
世界を救う壮大な物語でありながら、その中心にあるのは少年少女たちの成長と人間関係。
そこが、この作品の好きなところだった。
「永遠と絆のRPG」
『エターニア』では、種族、文化、言語、そして世界そのものの違いが描かれる。
インフェリアとセレスティア。
異なる環境で生きてきた人々が出会い、最初は理解できなかった相手を少しずつ知っていく。
そうした心の交流や絆が、物語を通して丁寧に描かれていた。
『デスティニー』や『ファンタジア』と比べると、個人的にはややダークな要素が薄くなった印象もある。
それでも物語が軽くなったわけではなく、異なる世界に生きる人々が互いを理解することの難しさや、それでも相手を知ろうとすることの大切さが描かれた、奥深いシナリオに仕上がっていたと思う。
「永遠と絆のRPG」。
今振り返ってみると、かなり作品の内容を的確に表したキャッチコピーだったのかもしれない。
過去作ファンには嬉しいお遊びも
シリーズ5周年作品ということもあって、過去作ファン向けのサービスも用意されていた。
特に覚えているのが、『テイルズ オブ ファンタジア』からクレスとアーチェが登場すること。
闘技場の隠しボスとして登場し、当時よりも高精細なドット絵で描かれたクレスとアーチェが動いている姿を見られたのは、過去作をプレイしていた身としてはかなり嬉しいサプライズだった。
さらに「S・D」というアイテムも登場する。
言うまでもなく、『テイルズ オブ デスティニー』のソーディアン・ディムロスを意識したもの。
今でこそシリーズ作品をまたいだゲスト出演や小ネタは珍しくないが、当時はこうした過去作とのつながりを見つけるだけでも妙にワクワクした。
『デスティニー』『ファンタジア』と続けてプレイしてきた自分にとっては、「テイルズがシリーズになっていく」ことを実感した作品でもあったように思う。
そして、もう一度エターニアへ?
そもそも今回、テイルズシリーズの思い出を書こうと思い立ったきっかけのひとつが、たまたま『エターニア』のリマスターに関する情報を目にしたことだった。
発売は10月15日とのこと。
『エターニア』を最後にプレイしてから、もうかなりの年月が経っている。
当時は気にも留めなかった台詞や演出も、今プレイするとまったく違った印象を受けるかもしれない。
リッド、ファラ、キール、メルディたちの旅を、久しぶりに最初から追いかけてみたい気持ちはかなりある。
……とはいえ、大量の積みゲーを抱えている身である。
果たして無事、もう一度エターニアへ旅立つことができるものか。
ともあれ、せっかく始めたテイルズシリーズの思い出語り。
こうして昔の記憶を掘り起こしながら書いてみると、当時の懐かしい気持ちに浸ることができて、なかなか楽しいものだ。
この先の作品についても、記憶をたどりながらできるだけ書いていければと思っている。
次回の記事:テイルズシリーズのおもひで④ テイルズ オブ デスティニー2
前回の記事:テイルズシリーズのおもひで② テイルズ オブ ファンタジア
「テイルズシリーズのおもひで」シリーズ
テイルズシリーズのおもひで① テイルズ オブ デスティニー
テイルズシリーズのおもひで② テイルズ オブ ファンタジア
テイルズシリーズのおもひで③ テイルズ オブ エターニア
テイルズシリーズのおもひで④ テイルズ オブ デスティニー2
テイルズシリーズのおもひで⑤ テイルズ オブ シンフォニア



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