「君と響きあうRPG」――テイルズ オブ シンフォニア。
2003年、ニンテンドーゲームキューブ用ソフトとして発売された『テイルズ オブ シンフォニア』。
『デスティニー』以降、PlayStation系ハードでの展開が続いていたテイルズシリーズだったが、今作はまさかの任天堂ハードからの発売となった。
そして当時の私は、ゲームキューブを持っていなかった。
学生だったこともあり、いくらテイルズファンとはいえ、ソフト1本のためだけに新しいハードを買うほどの金銭的余裕はない。
当然プレイしたい気持ちは強かったが、さすがにそのためだけにゲームキューブを買う決断まではできなかった。
結局、店頭やテレビCMを眺めながら、指をくわえて見ているしかなかったのを覚えている。
CMで流れる「Starry Heavens」がさらに追い打ちをかける
ゲームキューブ版のテーマソングは、day after tomorrowの「Starry Heavens」。
これがまた、すごくよかった。
当時テレビで流れていた『シンフォニア』のCMからこの曲が聞こえてくるたびに、
「やっぱりシンフォニアやりたい……」
と心を揺さぶられていた記憶がある。
ゲームを持っていないのに、テーマソングだけは妙に印象に残っている。
そんな状態で約1年。
翌2004年、ついにPlayStation 2への移植が決定した。
自分にとっては、まさに待望の移植だった。
こうして発売から1年越しに、ようやく『シンフォニア』をプレイすることができた。
「そして僕にできるコト」もまた名曲だった
PS2版ではテーマソングも変更され、同じくday after tomorrowの「そして僕にできるコト」になった。
「Starry Heavens」も好きだったが、こちらも負けず劣らずの名曲。
misonoさんの力強さと透明感をあわせ持った歌声が、『シンフォニア』という作品の雰囲気にとてもよく合っていたと思う。
オープニングアニメで特に印象に残っているのが、コレットがロイドの手のひらに指で文字を書くシーン。
物語の中にも、言葉を失ったコレットがロイドの手のひらに文字を書いて意思を伝える場面があり、それを思わせる演出になっている。
そこで見せるコレットの笑顔が、今でも強く印象に残っている。
『シンフォニア』はなかなか重い物語なのだが、だからこそ、あの笑顔が余計に印象的だったのかもしれない。
シリーズ初のフル3D化
そして『シンフォニア』といえば、テイルズシリーズにとって大きな転換点となった作品でもある。
シリーズ初のフル3D化。
フィールド、キャラクター、イベントシーンなどが、これまでの2D中心の表現から3Dへと大きく変わった。
前作までのテイルズシリーズのドット絵が好きだった自分としては、この変更を最初から手放しで歓迎していたわけではない。
「テイルズもついに3Dになってしまうのか」
という寂しさも、少なからずあったと思う。
実際にプレイしてみても、今までの美しいドット絵と比べれば、当時の3Dモデルだけに粗が気になる部分はあった。
それでもキャラクターのデザインはうまくアニメ調にまとめられていて、偉そうに言わせてもらうなら、まぁ及第点といった感想だった。
ロイドやコレットたちが動いているところを見ているうちに、意外と早く馴染んでいったようにも思う。
その後のシリーズでは3Dグラフィックもどんどん進化し、コスチューム変更などキャラクター表現の幅も大きく広がっていった。
そうした後のシリーズを思えば、やはりこのタイミングで3Dへ舵を切ったことは必要だったのだろう。
戦闘もついに3Dへ
グラフィックの3D化に合わせて、戦闘システムも大きく変化した。
それまでのテイルズの戦闘は、基本的には敵と味方が一本のライン上で戦うものだった。
『シンフォニア』ではこれがML-LMBS(マルチライン・リニアモーションバトルシステム)となり、3Dのバトルフィールド上で複数のラインを切り替えながら戦う形になった。
現在の3Dテイルズのように、フィールドを完全に自由に走り回れるわけではない。
あくまでターゲットした敵と自分を結ぶライン上で戦うという、従来のリニアモーションバトルの考え方は残っている。
それでも当時の自分にとっては、
「テイルズの戦闘が3Dになった」
というだけでかなり新鮮だった。
2Dテイルズから現在の3Dテイルズへと移り変わっていく、その第一歩となった重要な作品だったのだと思う。
いきなり不穏すぎる『シンフォニア』の世界
そんな見た目の大きな変化以上に印象に残っているのが、今作のストーリーだ。
『シンフォニア』は、それまでの作品と比べてもかなりダークな要素が強い。
物語は、幼なじみのコレットが「再生の神子」として世界再生の旅に出るところから大きく動き始める。
世界を救うため、神子であるコレットが各地を巡って試練を乗り越えていく。
……と、ここだけ聞けばいかにも王道RPGらしい話なのだが、実際の物語は序盤からかなり不穏だ。
ハーフエルフの組織「ディザイアン」が運営する人間牧場というおぞましい施設が登場し、ロイドたちと親しくしていたマーブルの死、さらにはロイドたちが故郷イセリアを追放されるなど、かなり容赦のない展開が続いていく。
そんな世界で、
「神子が旅をすれば世界が再生します」
と言われても、どうにも胡散臭い。
当時どこまで疑ってプレイしていたのかはもう覚えていないが、今改めて設定を見ると、
「絶対そんな単純な話じゃないだろ」
としか思えない導入である。
案の定、世界再生のための試練をこなしていくことで、コレットは天使に近づくと同時に、徐々に五感や声など、人間としての機能を失っていく。
世界を救うための旅を進めれば進めるほど、その中心にいるコレットが人間ではなくなっていく。
なんとも恐ろしい設定である。
「世界を救う旅」の裏にあるもの
そして『シンフォニア』の物語は、単純な「世界を救う勇者の旅」では終わらない。
そこに描かれているのは、人種差別、搾取、生贄、裏切りといった、かなり重いテーマだ。
人間とハーフエルフ。
繁栄する世界と衰退する世界。
誰かを救うために、別の誰かが犠牲になる仕組み。
一見すると王道の「世界再生の旅」だった物語が進むにつれて、その世界そのものが抱えている歪みが少しずつ見えてくる。
かわいらしいキャラクターデザインや明るい掛け合いとは裏腹に、描かれているものはかなり重い。
それでも暗いだけの作品という印象にはならず、その重厚なシナリオにどんどん引き込まれていった。
今でも『シンフォニア』がシリーズの中で高い人気を持つ理由のひとつは、やはりこの物語にあるのではないかと思う。
『ファンタジア』を思わせる言葉の数々
もうひとつ、『シンフォニア』をプレイしていて気になったのが、『テイルズ オブ ファンタジア』を思わせる固有名詞がやたらと登場することだった。
ユミルの森。
ハイムダル。
ミズホ。
そして、
ユグドラシル。
マナ。
ハーフエルフ。
デリス・カーラーン。
エターナルソード。
『ファンタジア』をプレイしていれば、聞き覚えのある言葉が次々と出てくる。
当時の自分も、
「ファンタジアと同じ世界の話なのか?」
とは思っていた。
ただ、恥ずかしながら今回この記事を書くために『シンフォニア』について改めて調べていて、初めてきちんと知った。
『シンフォニア』は『ファンタジア』と同じ世界・時間軸につながる、はるか過去の物語だったらしい。
過去作ファンに向けたサービスくらいに思っていたが、想像していた以上に壮大なつながりで驚いた。
『ファンタジア』をプレイしたあとに『シンフォニア』を遊んでいたにもかかわらず、当時はそこまで深くは考えていなかった。
1年待った甲斐のあった一本
ゲームキューブで発売されると知ったときは、遊べないことが本当に残念だった。
CMで「Starry Heavens」を聞くたびに羨ましくなり、それから1年。
ようやくPS2版を手にして遊んだ『テイルズ オブ シンフォニア』は、シリーズ初の3D化という大きな変化を伴いながらも、間違いなく自分の知っているテイルズだった。
むしろ王道の冒険物語に見えて、その裏側にかなり重いテーマを抱えているシナリオは、シリーズの中でも特に印象に残るものだったと思う。
そして今回初めて知ったが、『ファンタジア』へとつながっていく世界を描いた作品でもあった。
当時はそこまで理解していなかったことも含めて、改めて調べると新しい発見がある。
こうして昔遊んだゲームについて書いていると、
昔の思い出を振り返っているはずなのに、今になって初めて知ることが結構ある。
懐かしさにまかせて書いてみた回顧録だが、そんなところも面白いものだ。
次回の記事:未定
前回の記事:テイルズシリーズのおもひで④ テイルズ オブ デスティニー2
「テイルズシリーズのおもひで」シリーズ
テイルズシリーズのおもひで① テイルズ オブ デスティニー
テイルズシリーズのおもひで② テイルズ オブ ファンタジア
テイルズシリーズのおもひで③ テイルズ オブ エターニア
テイルズシリーズのおもひで④ テイルズ オブ デスティニー2
テイルズシリーズのおもひで⑤ テイルズ オブ シンフォニア



コメント